米・イラン協議

泥沼化しているイラクの治安情勢の改善に向け
アメリカとイランが大使級協議を開いた

互いに「悪の枢軸」「大悪魔」と罵り合ってきた「宿敵」同士による
27年振りの公式協議である

1979年に起きたテヘランでの米大使館人質事件以降
両国は国交を断絶し、直接対話を拒んできた

今も、核開発問題などで激しく対立し、互いを敵をみなす構図は変わっていない
にもかかわらず、双方が対話に応じたのは
「これ以上のイラク情勢の悪化は互いにマイナス」との判断が働いたからだ

双方ともにイラク問題で窮地に追い込まれた末の「やむなき選択」だったと言えなくもない

イラク戦争の出口を捜すのに懸命なブッシュ政権は、米軍増派によって
治安改善を図ろうとしたが、情勢は好転していない

2007年4・5月には米兵死者が100人を超えるなど
事態はむしろ悪化している

最大の要因はイスラム教シーア派とスンニン派の宗派対立である

シーア派民兵組織の執拗な抵抗はブッシュ政権はこの抵抗の裏には
イランによるシーア派支援があると見て、同国政府を激しく非難してきたが

2006年12月の米国超党派グループの提言にもあったように
治安悪化の温床であるシーア派を迎え込むには、イランの協力を得る方が早道で
得策であるからブッシュ政権もようやくイランとの対話に踏み切ったということだろう

一方、シーア派の大国イランにとっても
イラクにシーア派主導のマリキ政権が誕生したことは、本来的に歓迎すべきことだ

これ以上の治安悪化でマリキ政権が弱体化するような事態は避けたいとの思いが強い

加えてイランは、核開発問題で国連安保理から制裁決議を受けるなど
国際社会の批判にさらされている

この動きをけん制するために「対話カード」を効果的に使いたいとの思惑もあったろう

こうした経緯と背景で実現した直接対話だけに4時間にわたった協議が嘘々実々の
駆け引きの場となったのはやむを得まい

はじめから目に見える成果を期待すること字体、無理というものだ
ここは、両国が対話のテーブルに着いたという事実だけをもって、まずは良しとしたい

とは言え、成果が全くなかったわけでもない
双方はイラクの「安定化」を支持することで一致し、協議を継続することも確認した
断交下の対話に対しては十分すぎる効果と受け止めたい

報道によれば、イラン協議で、イラクを加えた「3者協議」の枠組作りを
提案したとされる

その真意は推し量り難いが、イラク問題の平和的解決の可能性を秘めたユニークな
構想ではある

重要なことは、ともかく対話のチャンネルを手放さないことだ
イラク問題、核問題の平和的解決から両国の関係修復へ
さらには中東和平へと結び付く粘り強い対話を期待したい

公明新聞(6月)より抜粋

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