イラク避難民

 浜口武司さんによると

シリアの首都ダマスカス郊外の国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)lの敷地に設けられた「難民登録予約」の受付所には毎日曜日は数千人のイラク避難民が押し寄せているという

「アラブは一つ」
理念を掲げ、避難民を広く受け入れるシリア政府だが

1月下旬に一時的に滞在条件を厳しくしたところ、避難民の間に
「追い返される」とのデマが拡大した

それを機に「難民」として国連の保護下で安心を
得ようt、UHCRに避難民が殺到する騒ぎになりました

二ヶ月前にバクダッドから逃れてきたイスラム教シーア派の元公務員
アハマドさん(33)は昨年6月、スンニ派と間違われシーア派民兵に
拉致された

「一晩で帰してもらえたが、拷問の恐怖は今も消えない。あんな所に
帰れると思うか。難民登録し、ここにずっといたい」と話されました

今のところイラク人受け入れに寛容なシリア政府だが
実は避難民の「定住化」には神経をとがらせています

ムニル・アリ情報相顧問が、政府の立場を明快に
「困っているイラク人に、シリアは一枚のパンの半分をあげる。しかし、
イラクが安定し、彼らが一日も早く帰国する事が願いだ」と語っています

背景には、1948年のイスラエル建国以来、約300万人が周辺国に逃れ
事実上安定化したパレスチナ難民の問題がある

シリア人民議会のムハンマド・ハバシ議員は

「パレスチナ(難民定住化)の二の舞は避けたいのが本音だ。シリアには
既に40万人以上のパレスチナ難民がいる。この上、150万人もの
イラク人をシリアだけで抱えられるわけがない」と窮状を訴えています

このような考えを反映してか、シリア政府が、イラクにいたパレスチナ難民の
越境にはひときは厳格です

書類不備などを表向きの理由に、約800人のパレスチナ人が入国を
認められず国境の砂漠地帯でテント生活を送っています

その一つ、タナフ難民キャンプに住むアブアシルさん(50)が
劣悪な実態を明かしました

「夏はヘビやサソリに襲われ、冬は毛布を何枚かぶっても寒い
外界をわれわれをつなぐのはラジオだけ」と・・・

最低限の食料や水はUNHCRから提供されるが、十分な医療や教育も
受けられず、その日が過ぎるのをただ待つだけの生活だ。帰る国を持たず
イラクから脱出もできないパレスチナ人に安全な地ははるか遠い

国内外で370万人を超えるイラク避難民がパレスチナ難民と同様に
帰る場所を失ったとき、中東の新たな悲劇が幕を開ける。


2007.3.9 (中日新聞)

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